トップメッセージ
2025年3月期を終えて
~DX推進事業は今年も大幅に成長、売上高過去最高、通期業績予想達成~

2025年3月期の日本経済は、原材料・エネルギー価格の高騰や人手不足に起因する人件費の増加などによる急激な物価上昇や日銀の金融政策の修正による金利の上昇、米国の景気後退懸念に端を発した金融市場の乱高下など、経済環境に影響を及ぼす様々な要因が発生しました。一方で、雇用・所得環境の改善などを背景とした個人消費の緩やかな持ち直しやインバウンド需要の拡大、ソフトウェア投資を中心とした省力化投資の継続などにより緩やかな景気回復が続きました。
しかしながら、足許では、米国の関税政策による世界経済への影響や中国の景気減速懸念など、経済環境における不確実性が高まっています。これらによる企業収益の落ち込みなどにより、景気が減速するという見通しもある一方で、堅調なインバウンド需要の推移や人手不足に対応する省力化のためのDX投資やソフトウェア投資の増加の見通しもあり、この不確実性が高い環境に今後も注視が必要な状況となっています。
このような経営環境の中、当社グループは、ホールディングス化以降も引き続きDXを基軸とした事業活動を強化し、DX推進事業においては、顔認証プラットフォーム「FreeiD」の導入拡大やDX人材の増加、グループ内シナジー発揮による顧客企業のDX支援(クラウドインテグレーション等)の拡大を継続してきました。また、DX不動産事業においても、賃料上昇や低金利を背景とした堅調な収益不動産のニーズへの的確な対応と社内の組織・営業力強化による自社営業販売数の増加、とりわけ中古物件の買取再販数の増加が継続する状況となりました。
結果として、グループ全体の売上高は500億円を突破し、過去最高を更新するとともに、通期業績予想を達成いたしました。
~イオンモールに続きFreeiD Payを用いた「顔ダケで、買い物。」を「SHINAGAWA TECH SHOWCASE」で実証提供~
DX推進事業では、顔認証プラットフォームサービス「FreeiD(フリード)」を開発し、2021年1月より当社グループにて開発するマンションへの全面導入を開始しました。2022年からは他社マンションに向けた導入も行っており、三菱地所レジデンスや長谷工グループ、野村不動産が開発する物件等への導入や日本リート投資法人が運用する物件への導入など、足許で飛躍的に実績を上げています。
顔認証プラットフォームサービス「FreeiD」は、単なるマンションの鍵としての機能だけではなく、一つの顔IDをプラットフォームで管理することにより、「顔ダケで、世界がつながる。」という世界観を実現することを目指しています。この世界観実現に向けた一歩として、2025年1月・2月には、【愛知県主催 あいちデジタルアイランドプロジェクト「TECH MEETS」】にて、イオンモール常滑とイオン銀行とともに、顔認証プラットフォーム「FreeiD」を活用した「顔ダケで、買い物。」の実証事業を行いました。この実証事業では、6日間にて20~60代と幅広い年代の346名の方に顔認証決済サービス「FreeiD Pay」をご利用いただき、決済回数は1,173回、決済金額は約350万円という結果になりました。また、その際に実施したアンケートでは、利用者の95%以上に「顔認証決済サービスに好意的」とご回答いただいており、今後の顔認証決済サービスへの期待度が伺えました。これに続いて、品川インターシティで開催する「SHINAGAWA TECH SHOWCASE」でも顔認証決済サービス「FreeiD Pay」の実証提供を4月の3日間で行い、こちらもご好評の声を頂戴しました。
今後の方針
~グループ全体でAIを活用~
現在、ミガログループでは、グループ全体でAI活用を推進していますが、この度グループ会社のバーナーズにおいて、AIアプリ「AI動画分析サービスSRX」をリリースしました。これは同じくグループ会社のプロパティエージェントにおいて、営業社員が苦労していたことをヒアリングし、そこで出た課題を解決するためにAIを使用することから開発されたアプリになります。このアプリでは、①会議情報の要約②商談中の動画からリアルタイムで文字起こし③商談報告の自動作成や評価・分析ができるようになっております。これによって、プロパティエージェントの営業社員は、お客様との商談後、少なくとも30分から1時間の業務時間を削減することができ、生産性向上に大きく貢献するものとなっています。また、バーナーズでは、このアプリの開発にもAIを用いており、通常必要である工数の10分の1の工数で開発できたという実績も上げております。今後はグループ全体でこのアプリを利用していくほか、他社へのサービス展開を進め、加えて、当社グループにおけるシステム開発においてもAI活用を推進していこうと考えています。
さらに、グループ会社アヴァントは、AIでシステム開発を行う株式会社OutarcとAI領域及びシステム開発領域での協業を開始いたしました。こちらはAIでシステム開発を進めるOutarc社と受託開発をメインで行ってきたアヴァントが協業することにより、両社ともに未開拓業種への支援の展開や相互に顧客紹介することによる新しい取引先創出を見込んだものとなっています。
ミガログループでは、グループ全体で「AI活用」を進め、DX推進事業の成長を進めていきます。
~「PJ AXiS」始動 人的資本強化とともに、その効率性の最大化で生産性向上に注力、高い成長率を目指す~
セールス、デリバリーの生産性向上を図ることで事業を効率よく成長させるため、COOをはじめCHRO、CMOなど主要メンバーを採用し、今回、「PJ AXiS」を発足し始動しました。昨今の経営環境においては、人的資本経営の強化が急務であり、これが企業の成長の成否を占うと考えています。経営理念、中期目標、成長戦略と人材戦略を連動させ、これに適切なKPIを設定して全社的に推進することは今後必要不可欠な企業行動であり、これが生産性の向上を引き出し、ひいては企業価値の向上につながると考えています。「PJ AXiS」は、AIと人が共創関係となった時、生産性は最大化されることから、AI(Artificial Intelligence)と個人(Individual)の成長を軸に、組織の可能性を引き出すグループ横断プロジェクトという位置づけであり、「一見バラバラに見えるピースを一本の軸(Axis)でつなぎ、生産性と創造性を同時に生み出す。」、「この共通接線が、ミガロホールディングスの中核となり、“人と組織の進化”を加速させる。」という思想のもと、今後ミガログループの土台となっていくと思っています。
この内部的な動きに加え、足許ではM&A案件の相談件数も増加傾向にあるため、成長機会となる案件を着実に実現していき、この人的資本経営ノウハウによる生産性向上と差別化されたプロダクトやサービスを提供することで、飛躍的にミガログループを成長させることを目指してまいります。
~中長期ではDX不動産事業で売上高1,000億円、DX推進事業は売上高50億の目標達成を前倒しすることにチャレンジ~
DX不動産事業単体にて、2029年3月期に売上高1,000億円を目指して事業運営していますが、この目標については、現在においても変わりない目標となっており、収益不動産の認知度向上とDXにより効率化された事業運営体制でこの目標を達成したいと考えています。
DX推進事業では、顔認証プラットフォーム「FreeiD」の新規顧客開拓やクラウドインテグレーションサービス及びシステム受託開発における案件受注の拡大により、2027年3月期に50億円の売上目標を掲げておりますが、2025年3月期が売上高37億円超と高い成長率を示すことができたため、この目標の2026年3月期前倒し達成にチャレンジしたいと考えています。
~株主様への還元~
2025年3月期にかかる配当に関しては、中間配当6円(2025年3月1日の株式分割考慮後)を実施させていただき、期末配当は8円とする議案を株主総会に上程予定です。加えて、ミガロホールディングスをスタートして重要な1年目を、無事終えることができ、業績も好調に推移していることから、ホールディングス1周年記念株主優待も、2025年3月末に当社普通株式2単元(200株)以上を保有されている株主様にQUOカード5000円分を贈呈させていただくという内容にて実施させていただきます。
さらに、当社株式の流動性を高め投資家層の更なる拡大を図ることを目的に、2025年6月1日を効力発生日として普通株式1株につき普通株式2株の割合での株式分割を行わせていただきます。
2026年3月期の配当に関しては、前期の配当方針をベースに中間配当3円(2025年6月1日の株式分割考慮後、分割前比較前年同水準)、期末配当5円(2025年6月1日の株式分割考慮後、分割前比較前年比1円増)と合計で8円、前期比1円の増配を予定しております。また、2026年3月期の株主優待については、DX推進事業の2027年3月期の売上高目標50億円を前倒しで達成できる見通しがたったときに、前向きに検討する予定でおります。
今後につきましても、流動性に資する認知度向上のため、機関投資家IR・個人投資家IRともに強化するという方針のもと、前期に引き続き、積極的なIR活動を継続してまいります。昨今は、PBRやROICなど株主資本に対する注目がより一層高まっていると当社でも認識しており、資本政策や株主の皆様への還元は当社の重要な経営課題の一つと認識しています。今後も柔軟な資本政策をとり、株主の皆様の満足度が向上するよう継続的に検討してまいる所存ですので、今後とも、より一層のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年5月